赤岳~黒岳縦走 (2012年9月22-23日)

銀泉台→赤岳(2,077m)→白雲岳避難小屋→白雲岳(2,230m)→北海岳(2,149m)→黒岳(1,984m)→層雲峡

【層雲峡へ】

例年にない厳しい残暑となった2012年の夏、仕事を終えてまっすぐ層雲峡に向かった。当初思わしくなかった天気予報だったが車から見た夕焼けが翌日の好天を期待させた。

層雲峡YHに到着したのは20時頃。早速部屋にザックを置いて買ってきたパンとビールで夕食をとった。休憩室は人もまばらだったが管理人さんに聞くとやはり部屋は満室とのことであった。

【銀泉台から赤岳へ】

6時発のバスは乗客で満員、銀泉台に到着すると登山口には入山届を書く人でごったがえしていた。

銀泉台の紅葉スポットにはカメラマンが並んでいた。やはり残暑の影響なのか例年よりは鮮やかさが足りないとのことだけど、青空の下、秋の訪れを満喫できて大満足であった。

心地よい秋風を感じながらコマクサ平をすぎ、赤岳山頂を目指した。

今回は荷物も軽量化したので、とても快適な山登りだ。背後を振り返るとニセイカウシュッペをはじめとする北大雪の山々が望まれた。平凡な眺めかもしれないけれど、自分の足で歩いて初めて見ることのできる風景はやはり絶景というにふさわしいだろう。

左右にハイマツを見ながら岩場の道をさらに登っていく。今回の登りのとき、僕のEOS 5DMark2にはずっとEF17-40mmF4Lばかりついていた。登山するときに天気がよいと、どうしても広角レンズの使用頻度が高くなる。

ほどなくして赤岳山頂に立った。そこからは表大雪の山をくっきりと見ることができた。紺碧の秋の空には一筋の雲がまるで大空へ舞い昇る銀の竜のごとく見えた。
白雲岳から立ち登る白い雲・・・。これ以上の絶好の組み合わせはないだろうなと思った。

赤岳方面を振り返るとたくさんの人が休んでいるのが見えた。赤岳の地図上の三角点はもう少し北側にあるのだが、登山道的にはこの岩場が赤岳山頂だ。

【白雲岳のナキウサギ】

小休憩のあと、白雲分岐にザックをデポして白雲岳を目指した。大して重くないと思っていたザックもやはり下ろすとかなり楽だ。まわりからはナキウサギの声が響いていた。

ガレ場に差しかかったとき、ついにナキウサギがその姿を現してくれた。過酷な自然の中で太古の昔から生き続けている彼らの姿はいつみても感動してしまう。

白雲岳山頂より旭岳方面を望む。

【白雲岳テント場】

テント場に到着し、早速テントを設営した。僕のテントはモンベルのステラリッジ。設営も簡単で重さも軽いので気に入っている。軽量テントにはゴアテックス製のフライシート無しのタイプもあるけど、個人的にはやはり山で使用するテントはフライシートつきの物がよいと感じている。

寝床を確保して次にしたのは・・・当然ビールを冷やすことである(笑)。ここ白雲岳の水場の水は信じられないくらい冷たいので、ビールを冷やすには最適だ。今回は気合をいれてプレモルなどを3本も持ってきた(笑)。

避難小屋から、テント場を見下ろす。時間とともに設営テントの数も増えてきた。

【大雪山の夕暮れ】

しばらく休憩をとり、夕食用の水とコンロを準備し終えたあと、夕方の風景を見ようと緑岳まで往復することにした。テント場からは夕日を見ることができないが、緑岳まで登ると旭岳も見ることができるのだ。

緑岳に向かう道で、餌をほおばるエゾシマリスの姿が有った。チングルマとウラシマツツジの紅葉の中で、長い冬篭りの準備をする姿が愛らしかった。

稜線に立つと、西に傾きかけた太陽によって暖かく色づいた秋の雲の彼方に緑岳とトムラウシの姿が見えた。

緑岳に近づくにつれて西の方角に旭岳が姿を現し、そしてそのシルエットには、虹色の光の輪が架かっていた。大雪山で見ることのできた荘厳な日暈(にちうん)だった。

緑岳山頂についたときはすでに17時頃。ここから来た道を引き返してテント場に戻った。帰り道で旭岳に沈むきれいな夕日を見ることができた。

板垣新道を戻るとき、夕焼け雲がまるでオーロラのように空を包んだ。手前に残る残雪と遠方のトムラウシを入れて撮影してみた。
テント場に戻ったあと、キンキンに冷えたビールが格別だったのはいうまでもない(笑)。この日の夕食はレトルトカレーとハンバーグ。セブンイレブンのレトルトハンバーグは予想以上に美味しかった。また次の機会にも採用しよう。ビールもなくなったころ、程よい疲れもあってテントの中でうとうとと眠りについた。

【二日目の朝】

翌朝目覚めたのは4時半頃であった。昨夜は一時的に雨も降った様子だったけど、朝にはとても良く晴れ渡っていた。ただ外はひどく寒い。それもそのはず、昨年の今頃はもう雪が降っていたのだから。テントの外に出ると、凛と張り詰めた空気が眠気を一気に覚ましてくれた。

朝日が白雲岳を照らす。

日の出とともに、ピンク色に染まるトムラウシ。

日が昇ってしばらくすると、紅葉がその鮮やかさをましてトムラウシと十勝岳の遠景を引き立てていた。

テント場に朝が訪れる。

朝の景色を十分堪能したあと、ゆっくりと片付けを済ませて朝7時にはテント場をあとにした。後ろを振り返ると、避難小屋とテント場の奥にトムラウシ山が見えた・・・。またこの風景を見にきたい・・・と心から思った。

北海岳に向かう途中で撮影した一枚。白雲岳の右奥には旭岳が見えた。この二日間、心と身体を包んでくれた大雪山ともしばしの別れ。また来年の再会を夢見て・・・。

(赤岳~黒岳縦走 2012年9月22-23日)
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