ゆっくり歩いて、白雲岳避難小屋に到着したときには、すでに数人の登山客がくつろいでおり、僕は2階の開いているスペースに寝袋を広げた。時刻はまだ13時を過ぎたばかりだったが次第に空模様が怪しくなり、雪交じりの強い雨となってきた。早いうちに到着して落ち着いたのはよかったのだが、夜までの時間をつぶすのに一苦労であった。15時過ぎになって空模様はどんどん怪しくなっていた。僕の持っているソフトバンクのiPhoneは当然(?)圏外だったが、ドコモの携帯を持っていた登山者が天気予報を確認してくれた。それによると夜から明け方にかけて少しだけ天気が回復するもののすぐに下り坂になるだろうとのことであった。その予報にはさすがにガッカリさせられた。予報の通り、その後も天候は回復する気配がなかった。
16時頃になって、もう一人の登山者が小屋に入ってきた。がっしりした体つきをしたその人は、大きなザックにお化けのようなデカイ三脚を担いでいた。聞けば本州から来たカメラマンらしいがこの寒い中なのに汗びっしょりでとても辛そうであった。その点僕の三脚はいい。僕のはGitzoのトラベラーカーボン三脚、G1541Tだ。丈夫なのにとても軽く重さは0.8kg程度しかない。
何はともあれ、天気はその後も回復せず他の登山者と他愛もない話をして過ごした。足寄から来ていた60代の男性は職場の20代の女性と二人で来たのだという。なんともうらやましい話である(笑)。なんだかんだと時は過ぎ、夜を迎えたのであった。
状況が一変したのは夜20時を過ぎたころだった。すでに日は暮れ、なけなしのウィスキーもなくなり寝袋に入ろうとしたとき、ふと窓から外を見るとそこには満天の星空が広がっていた。普通では考えられないくらいの星に僕は期待を膨らませて静かに外に出た。雲海の広がる大雪の山々から壮大な天の川が立ち上っていた!
(上川町 2011年9月24日)