積丹ツーリング(2009年7月11日-12日)

【女満別へ】

090806_03.jpg8月6日から、1泊2日で道東縦断ツーリングを計画した。7時21分の札幌発オホーツク1号に乗り込み、網走方面に向かう。丘珠空港から飛行機を利用する手もあったのだが、さすがに金額が嵩むためJRでの移動だ。  列車に乗り込むとまもなく僕と同様に自転車を抱えている40代半ばくらいの男性に声をかけられた。いかにも自転車狂的なその男性は、これから2週間くらいかけて北海道をぐるっと回るのだそうだ。男性も同じチャリダーの私を見てうれしかったのか、自転車のメーカーがどうだとか、この新モデルが欲しいだとか一方的に話しかけてきたが、後半はほとんど何を言っているのかわからなかった。

090806_03.jpg約5時間の移動を経て12時30分に女満別駅に降り立った。終点は一つ先の網走なのだが、女満別からは15kmも離れているし、今日はこれから美幌峠を越えて70km近くを走らなければならない。時間的な問題を考慮し、ここで降りることにした。  無人の女満別駅で降りたのは僕一人であった。

090806_04.jpg駅で降りた後、すぐに自転車を組み立てた。組み立てると言っても前輪と後輪をはめて、リヤキャリアを取り付けるだけだから簡単なものだ。  駅のすぐ目の前の網走湖ではたくさんの観光客が水遊びやシジミ採りにごった返していた。網走湖で記念写真を撮ると、いざ道東縦断のたびに出発だ。


【オホーツクの空】

090806_05.jpg女満別からまず向かったのはメルヘンの丘だ。国道39号線を網走方面に2kmほど進んだところにあるこの場所は、丘の上に形の良い木が並んでいて、誰が撮っても絵になる場所なのだが僕はここでまともな写真が撮れたためしがない。以前、美幌に3泊の出張があったときも連日雨が降っていて、札幌に帰ったら晴れたということからトラウマにもなっている。 実際、今回も到着したのが13時半だったので光線状態は半逆光、しかも手前の草は刈り取られていてあまり納得のいく写真が撮れなかった。PLフィルターで空の光量を落として何とか普通の写真になったが、ここでは永遠にいい写真が撮れないのではないかとさえ思えてくる。

090806_06.jpgメルヘンの丘から少し戻って道の駅メルヘンの丘めまんべつで休憩をとる。ここではシジミラーメンを食べるのが目的だ。ここ女満別のシジミラーメンは職場の先輩から教わったのだが、実は隠れた名物だとおもう。あっさりしたスープに細めの麺が絶妙で、シジミもたっぷり入っており、自宅の近くにあったら何度も通ってしまいそうになるほどだ。今回はこれからの長い行程を考えて、塩味大盛りを注文した。

090806_07.jpgお腹がふくれたところでスポーツドリンクを調達し、そろそろ屈斜路湖に向かうことにした。ゆっくりしすぎたので時刻はすでに14時を回っている。国道39号線を通って美幌に入り、国道243号線に乗り換えてから美幌峠を目指す。 空は雲ひとつない青空であった。平成の市町村大合併で女満別町と東藻琴村が合併し大空町とネーミングされたときはひどく違和感を覚えたものだが今はまさしくピッタリだなぁと感じる。人間の感覚なんてそんなものだ。 途中、アップダウンのある坂道にさしかかった。眺めもよいしここから美幌峠までは写真を撮影することもあまりないだろう。そこで僕は三脚を取り出して自分撮りにチャレンジしてみた(笑)。 他人様に見せられるような姿でもないが、こんな感じで快適なツーリングを楽しんだ。

【美幌をこえて】

090806_08.jpg女満別から美幌までは平坦な道を軽快にすすんだ。途中では農作業をしている方を多く見かけた。仕事とはいえ、この炎天下の中で長そで長ズボンで作業をされている方がすごいと思った。

090806_09.jpg間もなくして美幌市街に到着した。美幌といえば美幌和牛、そして肉の田村であろう。一昨年前の美幌出張の際、「肉の割烹 田村」で焼肉を食べて感激したのを思い出し、さっそく国道沿いにある田村精肉店に立ち寄った。そこで今晩のソーセージを調達。その名も「オホーツクの空」だ。味は3種類あるらしいが、今回は田村オリジナルのバジリコウィンナーと行者にんにくウィンナーを購入した。 ネットでも購入できるので興味のある方は買ってみてはいかがだろうか。味は保証します。

090806_10.jpg国道39号線から243号線に乗り換えいざ、美幌峠を目指す。峠まであと26kmという標識が見えた。  話はそれるが、先月積丹半島まで往復したとき、帰り道で強い右膝痛を生じたことがあった。その後でいろいろ調べたところ、ストレッチ不足も一因だが一番の原因は自転車のこぎ方にあることがわかった。つまり短距離走のように足の筋肉を強く収縮させるのではなく、長距離走のように筋肉に負荷をかけずになるべく軽いギアで自転車をこぐのがよい。今回は1か月間ストレッチをまめに行って準備し、自転車のこぎ方にも留意し、30kmを走るたびに休憩とアイシング、ストレッチを行ったので結果的にまったくストレスなくツーリングすることができた。美幌峠の坂道もほとんど休憩することなく登りきることが可能であった。

【美幌峠の絶景】

090806_11.jpg美幌峠の手前8kmほどになると上り坂が始まる。峠の頂上まではほとんど展望もなくただ登るだけという感じだが、意外に労せず登ることができた。サイクルコンピューターをみると時速8~10km/hペースで登っていたように思う。僕がつけているのは3000円程度の安いサイクルコンピューターである。長距離を走るときは心拍数やケイデンスも同時に測定できる機種の方がよいなと感じたが、今となっては新しいサイコンを買う気も起きないので手遅れだ。しかしこれからはGPSなどで走った経路や登った標高差などもわかるようになればもっとツーリングが楽しくなるのかもしれない。

090806_12.jpg美幌峠に到着したのは17時過ぎ。このころには日は大分西に傾いていたが、それでも屈斜路湖をはじめとする道東の雄大な景色を堪能するには十分であった。ここへは15年ほど前にも訪れたことがあったが展望台へ登る坂道はずいぶんと変わったように思う。  朝は屈斜路湖から登る太陽がとても美しい場所だが僕はここからの朝日を見たことがない。もし美幌峠にキャンプ場があったら僕は迷わずここに一泊したことだろう。  美幌峠の売店にはオホーツクビールなど興味をそそるものがたくさん売っていたが、ここでビールを買っても和琴半島に到着するころにはぬるくなってしまう。結局スポーツドリンクのみを購入し美幌峠を後にした。

【屈斜路湖の夕暮れ】

屈斜路湖の和琴半島に到着したときは時刻は18時30分になっていた。湖畔のキャンプサイトに自転車を止め、しばし休憩をとった。平日だったからか他のキャンパーはあまり多くなく、ツーリングライダーやチャリダーがほとんどだったが、チャリダーもほとんどがロードで僕のようなクロスバイクの人は一人もいなかった。

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夜のビールを調達すべく売店に行くと、19時までと言われた。あぶなかった…。あと少し到着するのが遅かったら、ビールなしでテントで一晩を過ごさなければならないところであった(笑)。

090806_14.jpg和琴半島には無料の露天風呂もあるのだが、あたりはもう暗くなっていたので、近くの湖心荘さんで風呂を借りて汗を流した。 夕食は前回同様レトルトカレーとウィンナーだ。今回のウインナーは「オホーツクの空、バジリコ風味」なのでちょっと贅沢な気分を味わえた。ちなみに「行者ニンニク風味」は家におみやげとして持って帰ることにした。

090806_15.jpg波の音を聞きながら一人、ランタンの火を眺めていると時間の経つのを忘れてしまう。 今日(8月6日)はとても暑かったなぁ。64年前のヒロシマはもっと暑かったのだろうか・・・。今のこの平和は次の世代にもずっと守っていかなければならない・・・。 残照の夕空を眺めながら、恰好のいいことを考えているといつの間にか買ったビールが全部なくなってしまった。明日も早いし、今日は寝ることにしよう。 屈斜路湖に輝く星空の下で、僕は静かに眠りについた。

【朝焼けの湖】

8月7日の朝、テントの中で4時頃に目が覚めた。いつもならばもう少し寝ていようと二度寝するところだが、何となく胸騒ぎがしてテントの外へ出てみた。 外へ出た瞬間、東の空を見て驚いた。とっても壮大な朝焼けが屈斜路湖の湖面を覆っていたからだ。まるで湖そのものが燃えているかのようであった。
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さっそくカメラと三脚を取り出して写真を撮影したのは言うまでもない。僕のほかには起きている人は誰もいなかった。みんな夢の中なのだろう。なんだかとても得をした気分になった。

090807_02.jpg目が覚めてしまったので寝袋をたたんで、朝食を準備することにした。真空パックのご飯を温めて即席レトルト丼の完成だ。

090807_03.jpg食事をした後は準備を整えて6時にはキャンプ場をあとにした。川湯方面にも行きたかったが天気も曇りがちになってきたしだいぶ遠回りになってしまうので今回はパスすることにした。弟子屈町市街から国道391号線に乗って釧路方面に南下した。

【釧網線に沿って】

090807_04.jpg弟子屈から釧路までは、釧路川に沿って走るような道だ。川下に向かって走ることになるので自転車での走行もだいぶ楽だろうと予想していたが、実際に信号のない平坦な道が続き、時速30km/hペースでの走行が可能であった。予定よりもだいぶ早くに釧路に到着できそうだ。  摩周付近からは釧網線の横を走る形になる。一本の線路をキハ54が走りぬけて行った。
(摩周-南弟子屈にて)

しばらく走ると塘路湖、シラルトロ湖に到着し、サルボ展望台に立ち寄った。しかし塘路湖はサルボ展望台の南側に位置しているため、光線状態は終日逆光、よい写真を撮ることができなかった。 夏の釧路湿原の風物詩といえばやはり、くしろ湿原ノロッコだろう。雄大な湿原を縫うように釧路-塘路間を走るノロッコ号は今年でちょうど20周年を迎えたのだという。列車の前面に20周年の文字が見える。
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  くしろ湿原ノロッコは本当は有名な撮影ポイントがあるのだが、僕は詳しい場所を知らなかったし山道を20分程度登らなければならないことが分かっていたので、今回は断念したのだった。しかしそのお陰で、列車前面の20周年のロゴを撮影することができたので大満足だ。

090807_06.jpgその後、釧路湿原の細岡展望台に立ち寄った。平日だというのに観光客でごった返しており、せっかく自転車を撮影しようと思ったのに、肝心の「釧路湿原」と「細岡展望台」の文字が隠れてしまった。まぁこれでも行った証拠くらいにはなるだろう。

090807_07.jpg早々に細岡展望台をあとにして釧路に向かうことにした。まだ時刻は13時頃だからゆっくり行っても16時17分発のスーパーおおぞら12号には十分間に合う。 途中の遠矢駅で快速しれとこ号を撮影した。ほんとに今日は列車の撮影ばかりだ(笑)。駅のホームには子どもたちがたくさん駅に並んでいた。これから釧路に遠足なのだろうか。

090807_08.jpg釧路駅に到着すると自転車を輪行バッグに収め、みどりの窓口に行った。事前に予約していたのは最終のスーパーおおぞら14号だったので、列車を繰り上げて12号の指定席に変更するためだ。釧路までは4時間もあるので帰りはグリーン席でのんびり帰ろうと考えていたのだが、グリーン席はすべて満席であり僕の思惑はもろくも崩れさった。残りわずかの指定席を確保してキヨスクでビールを購入した。

nekonotamago_top.jpgその時、僕はある異変に気がついた。おみやげに買おうと思っていたあるお菓子が売っていないのだ。
そう、あのひんやりと柔らかい餅と生クリームに包まれたいろんな味の「ねこのたまご」が売っていなかったのである。
(写真は楽天市場から拝借)
店員さんに問い合わせてみると今年の7月にメーカーが廃業し製造中止になってしまったのだそうだ。あれほどの銘菓がなくなってしまったことに僕はひどく落胆し、ここに来るのがあと1か月早ければと思わずにはいられなかった。
失意のうちに僕は列車に乗り込んだ。そしてビールを飲みながら、ねこのたまごの製造会社の方に、「今まで良いお菓子を作って下さり有難うございました。」と心の中でお礼を言った。この技術を生かしてまた新しいお菓子を作ってもらいたいものだ。そんなことを考えていたらビールを1本も飲まないうちに僕は眠りに着いてしまった。(完)

【2日目データ】
走行距離:km
走行時間:時間分秒
平均速度:km/h