ニセコアンヌプリ (2011年9月10-11日)

五色温泉コース


よく晴れた秋の週末、大学時代の友人と午後に札幌を出発し、夕方からニセコアンヌプリに登る計画を立てた。名目上の目的は山頂で羊蹄山の背後から昇る朝日を撮影することなのだが、実際には山頂の避難小屋で友人と一杯やりたかっただけに他ならない(笑)。実はこの日の翌日は、趣味で勉強している英語の実力を試すべく、TOEICテストを事前に申し込んでいた。しかし天気を見て休日をふいにするのはあまりにも勿体ないと感じ、今回の強行プラン開催と相成ったわけだ。申込料の数千円の元を取ることができればよいと考えていた。

登山開始から30分ほど経過した。ビールのせいでザックがやけに重い。
友人はもともと学生時代スキー部に属しており体力はあるのだが、さすがに途中から少々疲れてきたようだ(笑)。とはいえ、ニセコアンヌプリの五色温泉コースはもともとハードな登りは少ない。久々の友人との会話を楽しみつつ標高を上げた。

休憩をとりながらゆっくり登っていくと、雷電山の方角に夕日が沈んでいった。空模様を見て、「これは焼ける!」と確信した僕はペースをあげて山頂に向かうことにした。

かなりペースを上げたつもりだったが、荷物が重いこともあってなかなか山頂に到達できない。みるみるうちにピンク色の薄雲が日本海と積丹半島を染めてゆく。山頂までどのくらいかかるか分からない、このまま登っていては夕焼けのピークを逃してしまうに違いない。僕は若干の焦りを感じながらもザックを降ろして三脚を立てて構図を決めた。

友人も同様にその自然の彩りに息をのんでいたのは言うまでもない。

山頂に到着するともう辺りは薄暗くなっていた。避難小屋の中にはすでに一人の男性がおり、話を聞けば今日羊蹄山に登ってそのままここに来たのだという。何ともタフな方である。しかしタフなわりにさすがに疲れたのか、しばらく無言になったあとすぐに眠りに落ちてしまった。僕は友人とともにガスコンロに火をつけてさっそくビールの缶をあけた。夕食はレトルトカレーとウインナーソテーという簡単なものだったが、その日は遅くまで楽しいひと時をすごしたのは言うまでもない。

ニセコアンヌプリ山頂からは真狩の町明りが、羊蹄山を静かに浮かび上がらせていた。

翌朝の日の出近くになると、麓の方角から人の声がした。数名の若い男女の集団であった。やはり僕たちと同じく羊蹄山から昇るご来光を見に暗い中登ってきたようだ。残念ながら頭上には雲がかかっており期待したような朝焼けを見ることはできなかった。一瞬だけ地平線近くに顔を出した太陽は鮮やかに羊蹄のシルエットを浮かびあがらせていた。またリベンジしたいと思う。

(ニセコアンヌプリ 2011年9月10-11日)
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