白雲岳

 白雲岳の山頂で30分ほど粘ってみたが一向にガスが晴れる気配はなかった。相変わらずトムラウシの姿は見えない。このガレ場はナキウサギの生息地でもあるから、姿を見ることができないか望遠レンズを装着して待っていたがナキウサギの声すら聞こえなかった。早めに層雲峡に下山しなければならなかったからあきらめてザックを背負い下山の準備を整えた。
 ガレ場をゆっくり下り白雲分岐に近づいた頃、ガスが晴れて太陽がまた顔を出した。そして、これまでガスに隠れて見えなかった、さっきまでいた白雲岳の山頂が青空の下に姿を現した。
 しまった、と僕は思った。そして重いザックを背負ってまた白雲岳の山頂に引き返そうと思った。でもここで引き返すとタイムロスが大きい。悩んだあげく先へ進むことにした。結果的にこれが正解だった。

(上川町 2011年9月25日)
PREV « TOP » NEXT