緑岳ご来光

翌朝の日の出時刻は午前4時。僕は2時半すぎにテントをでた。もちろんご来光を見るためだ。今回は緑岳に決めていた。白雲岳は昨年9月にご来光を見た事があったのと、今回は朝日に輝く旭岳と白雲岳を見たいと思ったからだ。あたりはまだ真っ暗だったが、尾根の向こう側の東の空はうっすら明るくなっていた。そして、日齢25の残月と木星、明けの明星が煌々と輝いていた。 ライトとGPSを頼りに板垣新道を登った。この道は昨日も通ったのでGPSに軌跡が残っており迷う心配はなかった。しかし、足元は不安定で注意を要した。途中で草むらの奥に動く影があった。もしやヒグマだろうか…?と僕は警戒したが、何の事はない、自分の照らしたライトがハイマツに当たって影が動いただけであった。 前方を見ると、東の方は少しずつ明るくなってきている。稜線に出れば地平線が見えるはずだ。果たしてそこに待っているのは、山々のシルエットか、それとも…。 坂道を登り切ったとき、東の空を見て僕は叫んだ。
「…雲海だ!」
ここまでくれば、後は眺めのよい尾根歩きで緑岳山頂に着く。右側を見ると、先ほどまで眠りに着いていたテント場が見えた。あんなにたくさんの人が泊まっているというのに、僕の後に登ってくる人は誰もいなかった。目の前の絶景を目にして僕は少し優越感に浸った。
(上川町 2012年7月15日)
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